65歳以上が4月から支払う介護保険料について、朝日新聞は主要74自治体にアンケートを実施した。回答があった73市区の約78%にあたる57市区で、月額6千円以上になることがわかった。保険料は3年ごとに見直され、4月以降は41市区で引き上げられる。一方、新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯のことなどを考慮し、32市区が保険料を据え置いたり、引き下げたりしていた。
最も高い大阪市 8094円に
65歳以上の介護保険料は市区町村ごとに決める。朝日新聞は政令指定市と県庁所在市、東京23区の74市区に、2021~23年度の月額保険料(所得に応じた保険料の基準となる額)の見込みを聞いた。24日現在で東京都葛飾区をのぞく73市区から回答があった。
記事の後半に政令指定市、県庁所在市、東京23区の介護保険料の一覧を掲載しています。
保険料が6千円以上の自治体は、57市区。回答があった73市区で比べると18~20年度より11カ所増えた。最も高くなるのは大阪市(8094円)で、初めて8千円台に達した。介護保険制度が始まった00年度に比べて2・4倍になる。引き上げ幅が最も大きいのは静岡市(6325円)で、833円増だった。
半数超の41市区が引き上げる一方、札幌、大津、高松、鹿児島の各市と東京都中央区など23市区は保険料を据え置いた。65歳以上で働く人が年々増える中、「新型コロナによる経済情勢を鑑みた」(杉並区)など、コロナで収入が減った人へ配慮した自治体もあった。引き下げた9市区の中にも、保険料負担を抑えるためとする自治体があった。
引き下げ幅が最も大きかったのは山口市(5050円)で、530円下げる。「施設整備の遅れなどで見込みよりも給付費が伸びていないため」としている。
高齢者の増加により要介護者も増えている。介護事業者に払われる介護報酬は4月から0・7%のプラス改定になるなど、多くの自治体でサービス費用は膨らむ。その中で保険料据え置き・引き下げの自治体は、余った保険料を積み立ててきた基金の取り崩しなどで保険料の上昇を抑えた。
介護保険サービスの費用は、00年度の3・6兆円から、19年度は11・7兆円と約3倍に増えている。
専門家「低所得者への配慮を」
早大政治経済学術院の野口晴子教授(医療経済学)の話
基金を取り崩して保険料を据え…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル